Project Hail Maryを読んだ!
Project Hail Mary ...?
前の前の回だかの「ゆるコンピュータ科学ラジオ」が 「『プロジェクト・ヘイル・メアリー』への愛を1時間しゃべる回」というタイトルの公開収録の回で、冒頭ちょこっとだけ聴いたところでは、どうやら「プロジェクト・ヘイル・メアリー」というのはSF小説であるらしい。
SFはもちろん好きだし、そして、話の様子からするとこれはすごく面白い小説であるらしい。これは、先にオチを聞いてしまうのはもったいない!
…ということで、即刻そこでポッドキャストを止め(YouTubeではなく、ポッドキャストで聞く派)、AmazonでKindle版を購入したのでした。もちろん英語版を!
ネタバレはしない
面白い本なので、ネタバレはしません。興味があればぜひ読んでみていただきたい。SFが好きなら、また、理系の人なら、絶対に面白いはず。あと、外国語好きの人にとってもなんとなくちょっと嬉しい。
ここのところけっこう仕事が忙しかったはずなのだけど、500ページ弱の本(紙の本だとそれぐらいになるそうだ。日本語版だと上下巻になるような分量)を2週間で読み切ったので、自分としてはけっこういいペース。それぐらい面白かった。お勧めの本です!
英語学習の観点でもお勧め
文章は非常に平易で、サクサク読めます。これは気持ちいい。辞書に出ていないような俗語(であろう)もたくさん出てくるけれど、前後の文脈から十分推測可能です。iPhone版のKindleアプリの辞書をひきながら読んでいて、見つからない言葉もたくさんあったけれど、意味が解らない箇所はたぶんなかったはず。
もう一つお勧めなのは、音声版も聴きやすいという点。この2週間、読んでは聴き、聴いては読み、…というのを繰り返しておりました。本は読み終わったけど音声の方はまだ半分をちょっと過ぎたところ。残りの半分を聴くのが楽しみです。
だがしかし…
翻訳はちょっとイケてないかなぁ…。英語版を読み終わったので翻訳版も購入しましたが、一人称が「ぼく」だったので正直がっかりしました。これは絶対「おれ」でしょう。(筒井康隆の読みすぎかもしれないが)
あと、英語で読んでいて「ここ、どう訳してるのかな?」と思った箇所が「うっそだろう!」になっていたので、出だしの「ぼく」とこの「うっそだろう!」だけ見て、もう読まないことにしました。
すぐれた小説の日本語版が必ずしもすぐれた訳だとは限らないのです…。
ということで、できれば英語で読んでいただきたい本です…。
でもやっぱり「うっそだろう」について、ちょっとだけ言いたい!
ネタバレはしないつもりだけど、ちょっとだけ。
なぜ「うっそだろう!」がそんなにイヤだったかというと…。
冒頭で主人公が「自分がなぜか汚い言葉を避ける習慣がある」ということに気づき、なぜだ、と不思議に思う場面があります。日本語版のその箇所をあたってみると、わざわざ原文にはない補足までつけて、そのことを説明していました。
そこまでわかっているなら、なぜ "Holy f--ing shit!" というセリフを「うっそだろう」なんていう間の抜けた訳にするのか…。
この場面はあまりにすごいことが起きたので、(教師だった主人公が)子どもの前でそういう言葉を使わないようにしていた習慣すら忘れて、思わずFワードを口走ってしまった…というところ。「クッソすげえことになったぞ」とか、とにかく卑語を入れた訳にしないと意味がない。意味がないんですよ…。
たぶん他にも「そうじゃねえだろ」と思う箇所がいっぱい出てきそうなので、訳書は読むのをやめることにした次第です。