Gunslinger Girlで学ぶイタリア語 #4

イタリアから届いた!

Amazon.itで注文したガンスリンガー ガールの単行本が届きました。注文してからだいたい2週間といったところでしょうか。思いのほか早く届いたのはありがたい。

本当にイタリア語版なのか心配だったのですが(italianoってちゃんと書いてあったのに!)、もちろんちゃんとイタリア語でした。

残念ながら、翻訳は前の人とは違うようでした。以下、以前10巻まで刊行された方(自分の好きな翻訳)を旧版、今回買った新しい方を新版と呼びます。

  • 登場人物の名前が原作(日本語版)寄り … 旧版では登場人物の名前をイタリア風に直していたのだけれど、新版では原作に近い発音に(たとえば、原作の「ジャン」が旧版では「Gianni」、新版では「Gian」)
  • 義体」の訳語 … 旧版では「marionetta」としていて、これがすごく気に入っていたのですが、新版では「corpo artificiale」に。旧版でもときどき出てきた言葉だし、こちらの方が忠実な訳語だとは思うのですが、雰囲気は今一つ。
  • 義体から担当官へは「lei」呼び … これはもう解釈の違いだと思うので、いい、悪いということは言い切れないんですが、旧版は義体たちは担当官のことをtuで呼んでいて、新版では(ペトルーシュカ以外は)leiで呼んでいました。「tuとleiの話」はGunslinger Girlで学ぶイタリア語 #3に書きました。
  • なんか微妙に忠実な翻訳じゃない? … これは自分の語学力が足りなくてきちんと言い切れないのだけれど、ところどころ「ん?」と思うところがなくもない。誤解かもしれないけど。
  • 遠過去だ! … 新版ではところどころ遠過去が出てきます。旧版ではあまり見た記憶がない。(もっとも旧版もちゃんと読んだわけではなく、拾い読みしかしていないのですが)

遠過去?

初級の文法書だと最後の方にちょろっと出ていて、「今とは関係ない過去のことを言う」「日常会話ではあまり使わない」と説明されているやつです。したがって、あまり勉強しなくてもいいよ…みたいな扱いをされているやつ。

実は自分もそう思っていたんですが、今回実際に目にしてちょっと考えを改めました。やっぱりちょっとは覚えた方がいいのかな…。

以前、「外国語を学ぶなら子ども向けに書かれたものを読むのがいいのではないか」と考え、「星の王子様」のイタリア語版を読もうとしたことがあったのですが、これがもう(当たり前ですが)遠過去がいっぱいで、自分にはちょっと無理で挫折したことがありました。どうもそれ以来遠過去には苦手意識が…。

なお、「星の王子様」のドイツ語版は学生のときに読んだ…はず。ちゃんと最後まで読んだかは記憶にないのですが、ドイツ語には遠過去のようなややこしいものはないので、読むのに苦労した記憶はありません。その経験があったからイタリア語版にも手を出したわけですが、言語によっていろいろと事情が違うものですね。

今回「遠過去」で検索してみて、「南の方ではわりと使う」ということを知りました。なるほど、そうすると新版の訳者は南の人なのかな? 遠過去がどういうところで出てくるかまだよくわかっていないので、新版をちょっとずつ読んで勉強していこうと思います。

 

「はい」

以下ネタバレになりますが…。

14巻冒頭、錯乱したヘンリエッタに撃たれたジョゼがもう助からないと悟り、ヘンリエッタの想いをかなえるため、心中するという場面。(「心中」だよなぁ、あれは。近未来のイタリアで日本の心中を描くというところがすごい。しかもこれ1巻からずっと伏線を張っていたやつなのです)

もう、こうしてやることしかできないとヘンリエッタに銃を向けるジョゼに対し、ヘンリエッタが言うのが、原作では

ジョゼさん… はい

(第14巻 第83話 救い)

この「はい」というのが、短くても想いのこもった大好きなセリフだったので、どう翻訳されているか非常に気になっていました。イタリア語版(新版)では、

Signor Giose ... Proprio così.

…となっていて、まぁ、確かにそういうことなんだけど、なんだかなぁという気もしました。ちょっとはっきり言い過ぎというか。旧版の訳者だったらここはどう訳したんだろうなぁ。

なお、繁体字版(台湾版)も見てみたところ、

喬瑟先生… 我願意。

でした。前に読んだときはあまりいいと思わなかったのだけど、いやいやこれ実はけっこういい訳かもしれない。「我」という言葉をあえて出したのはいいですね。「我願意」とすることで、ヘンリエッタ自身がそれを望んでいることがよくわかる。これは訳した人がきちんと内容を汲み取ってくれたからでしょう。文字通りに訳したら「是」の一言かもしれませんが、それだと本当に単なる返事になっちゃいますからね。

ああ、ここ英語版ではどうなっているんだろうな。なくしてしまったのが本当に悔やまれます。

 

とりとめもないですがこのへんで。

 

 

nhirose17.hatenablog.com

 

nhirose17.hatenablog.com

 

nhirose17.hatenablog.com