海角七號

海角七号 君想う、国境の南

久々です…

しばらくブログ書いていなかったのですが、久々に…。

今年はもっと語学の勉強をするつもりだったのに、ぜんぜん勉強もせず、「これも勉強のうち」と言い訳をして、台湾の映画を見まくっている次第です。

少しずつでも、台湾の映画から学んだこと、気づいたことなどを書いていこうかなと思います。まずは「海角七號」から。日本では「君想う、国境の南」というサブタイトルがついていますが、うーん、これはない方がシンプルでいいのでは。

 

台湾って何語?

「台湾に遊びに行ってきたよ」という話をすると、ときどき「台湾って何語? …台湾語?」と聞かれることがあります。自分も台湾が好きになる前はそんな感じでした。

共通語としては「中国語」(と敢えて言いますが)だが、「台湾語」も多くの人が話すわけです。

この「海角七號」という映画も、セリフのかなりの部分が台湾語です。

日本版の字幕では、オリジナルのセリフが台湾語の場合、先頭に「・」がついています。もともと中国語だったセリフは「・」なし。他の映画で同じようなことをやっているのは見たことがありませんが、この映画ではこの「・」が非常に大事。なぜってこの映画は「台湾の映画」だから。(…というのが自分の解釈です)

そして、忘れちゃいけないのが日本語。茂(ボー)さんというおじいさんは日本語世代という設定で、少しだけですが日本語で話す場面(意外に重要だと思う)があります。というより、冒頭からいきなり「野ばら」を日本語で歌っていますね。

 

台湾は台湾

この映画を観て、「すごいな」「大丈夫かよ」と思ったのは、メインのキャラクターたちがすべて台湾語で話しているということ。例外は日本人である「友子」とバンドのキーボード担当の「大大」だけ。大大はまだ小学生だか中学生だかぐらいの女の子なのですが、台湾でも若い世代はあまり台湾語を使わないらしいので、まぁ、そういうことなのでしょう。(というか、そもそもこの子ほとんどセリフがないのですが)

別の言い方をすれば、「この人は明らかに外省人(戦後、大陸から渡ってきた人たち)」というキャラクターがいない、のです。そのかわり、原住民、客家人、福佬人、…つまり、「もともと台湾にいた人たち」がメイン。主人公である阿嘉が何人かということははっきり言われてはいないのですが、演じている人はアミ族の人。

ちょっと自分の考えすぎかもしれませんが、「台湾は台湾、俺たちの国だ」というメッセージを感じます。

上に書いたように「大丈夫かよ」と思ったのは、こんな映画つくって中国から文句言われないのかよ…という点です。どうもやはりいろいろあったようで、公開中止になりかけたとか、結局いろいろカットしてやっと公開できたとか、そういうことのようです。そりゃそうだろうな。

というわけで、この映画は非常に台湾らしい映画、「もともと台湾にいた人たちの映画」なのです。そして、もし、この映画をつくった人が、日本人であるヒロインの「友子」も「もともと台湾にいた人たちの一種」としてとらえてくれているのであれば、それは自分にとってはとてもうれしいことだと思うのです…。

 

田中千絵さん

ヒロイン「友子」を演じたのが田中千絵さんという女優さんです。

この方本当に台湾に留学されていたとのことで、映画の中でも流暢に中国語を話されています。もちろんご本人が努力されたからなのでしょうが、がんばればここまでできるんだというのは、語学を勉強する者にとっては励みになります。

もっとも、しゃべっているのを聞けば一発で日本人だとわかりますし、映画の中でも「あの発音で聞き取れるたか?」なんて言われちゃってますが…。でも、これだけしゃべれれば言うことなしだと思うのです。自分もがんばろう。

 

お勧め?

公開当時台湾で大ブームになり、台湾での興行成績は台湾映画としてはナンバーワン。公開から十年以上経ってもまだ抜かれていません。

確かに非常に面白い映画だし、お勧めなのは間違いありません。それに、恒春の風景、特に海が美しい。

が、どうせ見るなら、「台湾にはいろいろな人たちがいる」ということをわかった上で見た方が味わいが深いと思うのです。ご覧になるのであれば、その前にぜひ以下をご一読あれ。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3